障がい者施設には、自立するための支援プログラムとして生活訓練があります。一方で就労移行支援をするケースもあります。生活訓練と何が違うのか気になる方もいるでしょう。生活訓練と就労移行支援ではサポートの目的が異なり、それに合わせてプログラムも違います。
今回は生活訓練と就労移行支援の違いをまとめました。こちらを読めば、支援内容の違いを踏まえ、障がい者が受けるべきものがわかるでしょう。
就労移行支援とは?
就労移行支援とは、障がい者に対する社会参加支援の一環です。国が定めた支援制度に障がい者総合支援法があります。施設がそれに基づき、障がい者が仕事に就くためのサポートをするのです。体が不自由なせいで、働きたくても働けない人が世の中にいます。そうした人々が仕事ができるように、施設がサポートやケアをするのが就労移行支援です。
具体的には就職に要する知識やスキルを得るために、施設がサポートをします。障がい者がやりたい仕事に合わせて、必要な支援をする形です。利用者は就職活動に備えて履歴書の書き方を学んだり、生活リズムを取り戻したりもします。このように就労移行支援では、障がい者が社会に出るための準備を助けるのです。以上から就労移行支援は、仕事に就く準備に特化しています。日常生活への適応を目的とした生活支援とは異なるので、間違えないように気をつけてください。
生活訓練と就労移行支援の違いとは?
生活訓練と似たものに就労移行支援がありますが、2つは目的とプログラムの面で異なります。それぞれの性質について、以下で詳しく見ていきましょう。
目的が違う
生活訓練と就労移行支援における最初の違いは、それぞれの目的です。生活訓練は、自立した形で日常生活を送れるようするためです。日常への適応が目的であり、仕事ができるようになるためではありません。一方で就労移行支援は、仕事に備えて知識やスキルを身につけるために行います。そのため、日常生活がある程度送れる状態が望ましいとされるのです。施設によっては、生活訓練を通して就労支援をすることもあります。しかし一般的に生活訓練は、日常生活の練習がメインです。就労移行支援は、障がい者が働けるように、スキル向上に重きを置いています。このように日常への適応か、仕事への適応かによって支援の内容が違います。
プログラムが違う
生活訓練と就労移行支援は、プログラムの内容が異なります。生活訓練は日常生活への適応がメインであり、仕事に必要なスキル習得は含まれません。食事や家事のように、生活に必要な訓練を受けるのがメインです。ここで向上できるのは生活能力であり、仕事に必要な能力ではありません。以上から就労移行支援とは、取り組む内容が異なります。
一方で就労移行支援では、企業での就労に向けた職業訓練に特化しています。そのためスキル習得や、就活サポートがメインです。障がい者でも社会で働く以上は、一定の責任がともないます。以上から施設としても、スキル習得や就職活動などをサポートする形です。生活訓練は自立した日常生活、就労移行支援は仕事を見据える形で、それぞれプログラムが決まります。
生活訓練は就労移行支援の基礎にもなる
生活訓練によって日常生活に適応できれば、就労移行支援の基礎になります。障がい者として自立を果たすことが、仕事のきっかけになるからです。仮に働きたいと思っても、日常生活がうまくいかないと難しいでしょう。自立できない状態で仕事に就いても、周囲に迷惑をかけるからです。このような事態を避ける意味で、生活訓練は重要といえます。障がい者の社会進出においては、就労移行支援だけでなく生活支援も大切です。生活訓練の目的は、生活能力の維持や向上です。日常の動作をスムーズにこなすことが、仕事にもつながります。食事や家事の動作に慣れてきたら、就労移行支援を受けられることもあるでしょう。
就労移行支援では、就職に向けて知識やスキルの向上をします。これは日常生活への適応という基礎があって、初めて可能になるのです。障がい者によっては、自立訓練の利用者が、就労移行支援を受けずに就職することもあります。一方で生活訓練を経て就労移行支援を受け、仕事を始める人もいるのです。このような背景から、生活訓練は障がい者の自立の基礎として重要です。基礎が整うことで、社会で活躍するきっかけも得られます。その意味で生活訓練も、障がい者が社会に出る準備につながるのです。生活訓練の段階からひとつひとつを積み重ねることが、自立に欠かせません。
まとめ
生活訓練は支援目的やプログラムで就労移行支援と異なります。しかし自立した日常生活ができるようになれば、仕事にもつながるのです。以上から障がい者が働くきっかけをつかむ意味でも、生活訓練の重要性は大きいでしょう。
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